2020年2月ダイヤモンドプリンセス号のニュースが流れたころ、事務所移転のため荷造りで忙しかった。陽性判定の検査が一日3人ぐらいしかできないとかで、乗員乗客が全員船から降りられないという事態は衝撃だった。家に帰れない、家族に会えない、食事が摂れない、持病の薬が手に入らないといったほころびが伝わるたびに、状況を適切に整理できるプロがしかるべきところに配置されていない、いまの日本という現実を目の当たりにして、ウィルスの存在よりも気分を重くさせた。
わたしはちょうど50代になったところ。
更年期ど真ん中で、身体の変化がつぎつぎと起き、痛みを伴う不具合ばかり。
緊急事態、マスク配布、オリンピック開催といった世間的な意味不明の波にのまれながらも、法人・本店登記・取引先との関係・過去の実績・運転資金の調達。。。自営業の自分に課してきた様々なガイドラインがほぼ全部ひっくり返って、その混乱の方が大きかったし身に堪えた。
どこから手を付ければいいか分からない。
自分をたて直したいけど、何が問題かも分からない。
しばらくして、ふと気づいた。
そうだ。これって私個人が引き起こした事態じゃないよな。
立ち止まった自分より、社会の方がもっと何倍も激しい急ブレーキを踏んで、反動に歪みながら踏ん張っている。
しかもよく見ると、この歪みってちょっとした真空空間になっていて、私ぐらいのサイズならここにスッポリ入れそうじゃない?ちょうど満身創痍だったことだし、竜巻から逃れるための地下室と考えておとなしく籠ろう。
もしかしたらこの時間は私の人生のどこかに予め組み込まれていた、ご先祖様からのプレゼントなのかもしれないぞ。とまぁ、ポジティブシンキングには自信があり。。
そうしてこの3年間、仕事しかやってこなかった30年を取り戻すかのように本を読み、読んで心が動いたら不思議と次に読むべき本が出てきて、なんだか忙しかった。それを繰り返すなかで昔のことが不意に繋がって新しい認識を得たり、自分の心の形が、私が思っていたカタチじゃなかったことにも気づいたり。。とにかく一言で言うと楽しかった。人生は50代から面白くなる、のは本当だった。
てな感じで、これから少しずつ、読んだ本の紹介を混ぜながら更新再開予定。
この3年間、夜21時にはデジタルツールを全て断ち、日付が変わる前に寝る。頭の体操に数独。週末は変わらず畑に通い土と野菜を育てひたすら食べてきた。猫2名も甘ったれのままオッサンになりひとまず元気。そんな話も織り交ぜつつ。