40歳を過ぎたら毎年「目」がひっかかるようになった。「もうみゃくらくまくへんか(網脈絡膜変化)」というやつで、世間話で話そうにも覚えられない。何回読んでも舌をかみそう。
病気か、はたまた老化か?いったいどの程度深刻なの?と考えているうちに日々の雑事に引きずられ、よく分からないことこそアヤシイんだけど、と警戒しつつも放置。
私は雪目(ゆきめ)なせいか(←知ってますか?)とにかく涙がよくあふれる。歩いてても涙がこぼれおちてきて、女優になれるかも、とすら思う。
飛蚊症はごくたまにあり、花粉症以降は目をぐりぐりとこするようになった。仕事ではモニター凝視歴も長く万年疲れ目、視力検査は判定不能。合う眼鏡を買い直しても、どこの店でも「近視と少し乱視の人」ぐらいな対応をされるし、昨年の運転免許更新では眼鏡仕様がはずれてしまった。目、いいじゃん!(いや、老眼か!)
健診結果が速達で戻ってきて「ナニゴトか!」と思うのは心臓に悪いので、数年前年に意を決して眼科を尋ねた。健診結果を持参しても「どこも悪くない!どの健診機関がそんなことを言うのか!!」と怒られてしまった。あーあ。つい慌てて、検査機関が毎年そう言うんです、ってバカな弁明しちゃったよ。なんだ私。
しかし健診の度に網脈絡膜への指摘は続き、昨年は健診の場で「飯島さん、ちゃんと専門医にかかってます?」と問われるしまつ。
意を決して、今度は少し大きな眼科へ行ってみよう、と思い立ったのが2017年12月。
御茶ノ水の駅上にある眼科は19階、都内一望の眺めで最高。展望デッキにお金を払って行くタイプの私にとっては、こんなにテンションの上がる病院があっていいのか、これなら何回来てもいいな!気分サイコー!と思いながら、検査という名の院内ツアーが始まる。
見たこともないような(当たり前だけど)超立派な検査機器だらけで、宇宙船みたいなのもあった気がする。後先考えなければ楽しい。眼科って腕よりカネなのだな、設備への資金力だな、とぼんやり思う。前に怒られた眼科は健診機関のそれとほとんど同じだったもの。
1時間以上の検査を経て診察室へ流れ着いたら、緑内障と言われてしまった。ガーン!片目のわずかに視野欠損だそうだ。しかも私と年代の近そうな若い眼科医が担当だと言われ覚悟する。あぁ長い付き合いになるんだ。私の目が見えている限り、節々でこの顔を眺めることになるんだなぁと落ち込む。
ところがこの眼科は老若男女+外国人の患者で常に満員御礼。受付で本日の番号を付与されると検査も診察のあちこちで「今日の番号」を聞かれカルテと照合される。やっと診察室に入れても目を見るために室内は真っ暗。照明が付いたら医師を取り囲むように助手3人。状態をワーッと説明され「わかりました」と言おうものなら背中側にある出口のドアを開けられ「ハイお疲れさまでした」。
外にはズラッと診察待ち患者が並び、退室するしかない。
こうして自分の病気について余韻にひたるどころか、何かを聞いてみたいけれど質問するタイミングすら得られないまま数回通院してしまった。これじゃあ納得がいかないと、予約した診察日にオットに同行してもらい、予め横から口をはさんでもらうように頼み込んでおいた。
次回、なるべく簡潔に、という気持ちが先走り、転がり落ちるような口調で急いで質問する。
「先生、これ以上悪くならないように、気をつけなければならないことはあるのでしょうか?」
すると医師は「何を今さら」というフレーバー付きの大き目な吐息をハァーとついて、軽く鼻もならしつつ、
「そうですねぇ~。太り過ぎず、痩せすぎず。食事に気を付けて。タバコは吸わない。お酒はほどほどに。血圧高いとダメ。運動する、水分をとる、塩分に気を付ける、ストレスためない、ちゃんと寝る、、、もうね、言い出したらキリがないです。とにかく健康に気を付ける、としか言いようありませんね。」この説明に約3秒。大根役者のセリフかってぐらい早い。まくしたてられて、チクショー言い慣れてんな、と思いつつ驚く。「えっ!ここにきてまたもや「ストレスに気をつけよう」話なの?!」
アレルギー克服のために生活態度の見直しに十余年をささげてきている。目が回っても、腹を壊しても、ストレスが原因と言われながら。
毎朝やっと朝食を摂れるようになり、健康に向かう車輪は回りだした手ごたえがあったのに。。できれば職業病と言われたかったけど、現実にはこちらの仕事のことなど聞かれもしなかった。
「たぶん緑内障」の第一報の時から、姉には「眼圧下げるべし!」と言われてきたけど、血圧ならともかく「ガンアツ」なんてどうやって下げるんじゃ!!そう思っていたら医師からダメ押しの一言が。
「そうだ。一つだけやってはいけないスポーツあります。ヨガはダメです。」
ガーン・・・。私の唯一の、健康増進リフレッシュ法だったのに・・・。
頭を下げたり逆立ちするポーズなどで目の周りを圧迫すると、眼圧が上がってよくないのらしい。
食べて&消費、これを繰り返してヒトは健康に近づくというのに、食べることしか残らなくなってしまった。これではデブまっしぐらである。なにかライフワークになりそうなスポーツを探さなければ。。。