友人を花見に誘ったら、素敵な穴場を紹介してくれることになり、東京下町お散歩コースを散策してきた。歩きながら、とりとめのないおしゃべりにも花が咲く。ぽかぽかの陽気のなか、花粉症のせいでハナをかむたびに周囲へ轟音をとどろかすものの、そこはお互い大人ならではの暗黙の了解。仕事を忘れ、ディープな愚痴も慎みながら、楽しいひと時を満喫してきた。ソメイヨシノは、接ぎ木が簡単で成長もはやく、パッと咲くから、かつて戦勝記念にあちこちに植樹されたそうだ。国威発揚のお祝いだから神社にも多く植えられてると、三代目「桜守」佐野藤右衛門氏のインタビューで読んだ。

桜の木の下に場所をとり、みんなでお弁当を開きながらお酒を飲むのも楽しい。どんな行事の成功にもしっかり者の幹事は不可欠だが、思えば友人知人はみな年をとり多忙になり、お花見酒の機会も減ってしまった。私も毎日時間に追われているが、ふと考えれば、気まぐれな仕事に振り回されている。
ビジネスの潮流では海に流れ出る河口付近に位置するこの商売。淡水でも海水でもない、汽水域だからこそ感じるのは、組織に属する人間の劣化。それなのに日本を動かすべきいい大人が束になって、やれ改ざんだ、いや書き換えだ、忖度だとやっていて、くだらなさすぎて疲れが増す。

散歩のゴールは角打ちで。
桜たちは永遠に咲いてはくれないし、世界はドメスティックに加速して傾いている。
なかでも私の血となる日本酒は、この10年で種類も増え、味も質もぐーっとあがった。コツコツと努力できる日本人であることをみんなが誇りに思える時代になってほしいし、自分もまだ夢を持てる人生を進みたい。そんな気持ちになったお花見だった。