10年以上前のこと。肌の乾燥が気になって、某アスタキサンチンの通販化粧品を使い始めた。
ウェブで購入すると安くなるし、自宅まで配達されるうえ、設定しておけば使い切るころに新品が送られてくる機能まである。スキンケアの品って急に無くなったことに気付いて慌てることありますよね?そのメーカーは、当時まだ珍しかったネットでの定期購入制度が用意されていて、計画的に設定さえすれば、ネットだけで用が足りた。時間がない人にはすごく便利だし、このシステムが評価されればウェブ業界にとってもプラスになるだろうなぁ、と感じながら利用していた。

私は面倒くさがりなので、スキンケアの全プロセスをそこにまとめ、あっという間に年間利用額が最上位クラスになった。購入費は優遇され、サンプルやら現品プレゼントなどがじゃんじゃん送られてくる。
それと一緒に「たくさんお金を使ってくれているアナタだから大事にしていますよ」と言いたげなデザインの、内容が薄くてダサい印刷物も届く。そして必ず「お客様の声をお寄せください」というハガキもセットで。

何か意見をください、というのはセンスがない。心が広いポーズに見えるけど「何でも自由に話して」っていう人に限って、何をいっても言い返して来る。知恵のある人はそういう投げかけをしないし、デザインの野暮ったさを見ても素人くさいし、おおかた、予算欲しさの広告代理店あたりにそそのかされたんだろうなぁ、と思っていた。
「セールスプロモーション」とは、商売をするうえで必要な「商品そのもの」以外の全てを、なんやかんやと面倒みてはお金をもらう商売。私はその業界にどっぷり30年もつかってきたので、どうしても「そういう目」で見てしまう。

ある時、意見くださいハガキに自分の名前が印字されて届いていることに気付いた。
これではゴミに名前書いて出してるみたい。シュレッダーは、猫がひっかかりでもしたら困るから使うのを止めているし、と、いちいち手で破って捨てていた。
目を通すのはうっとうしいけれど、立派なパンフレットはまとめてちぎるのにも力が要り指が痛い。封筒は紙だけどプラスチックの窓部分を分別しなければならない。定期的に何年も届くのを繰り返しているうちに「処分する時間は私の貴重なのんびりする時間なのに」とだんだん腹が立ってきて、棄てるのを止め「洗顔料のチューブが、使いきったつもりでも内容物がかなり残っているのが不満」と書いて送ってみた。
マヨネーズのように中味がきれいに滑り落ちる素材に替えられないものか、と。

ここの洗顔料チューブは、きっと材料費が安いんだろうけど素材が肉厚で、外からしごいて使っていてもフカフカしていて力が伝わらない。キャップをはずして内部を覗いてみるとけっこうな量がチューブの内側にこびりついている。思い切ってはさみで本体を切ってヘラでかきだすと、朝晩の使用で1週間以上たっぷり使えた。幾度となく棄ててきてしまって、もったいなかったな。
レフィルという「詰め替え用の交換」に早くから切り替えていた企業でもあったけど、届いてみたら、詰め替え用容器は硬度もありそのままでも十分使用に耐え、そこにゴツゴツした外容器を付け足すという“詰め替え用”だった。こういうのを屁理屈っていうのかな、そう思いながら装飾だけの外容器は棄てた。

使い終わった調味料などで、ビンのラベルがぺろりと剥がせたり(逆もアリ)、“本当に”手で切れる詰め替えパウチなど(逆もアリ)は感動する。細かいところにちゃんと気づいてくれている繊細さが、たまらなく好きだ。そういう企業のコマーシャルは、好感を持って眺めているし、迷った時にはそっちを買う。
そこのスキンケア品も、長らくお安くしてもらったヘビーユーザーでもあるし、今こそ使用者の実感を提言してお役に立つときでしょう!という気になったのも事実で、意気揚々と投函し、そのことをすっかり忘れたころ、宛名が手書きされた封書が自宅に届いた。
メーカーの社名と、研究所の所属らしい個人名が書いてある。

内容はこうだ。
いただいたご指摘には対応できない。だからキャップを外して指でほじって出してほしい、あなたの手が入るぐらいフタの円径を大きく作ってある。しかし指を入れるのは衛生上よろしくないので、最後の1回ぐらいに留めてほしい、と図解入りだった。
どんな心配だよ。指を入れるのも、その指で顔を洗うのも私なんだけど。
そしてその手紙の2枚目にやっと、そうはいってもあなたは改善してくださいというご意見なのだから、考えてみます、と書いてあった。

何だろう、この読後の不快感は。

私は「あなた」に意見を述べた訳ではなく、会社に送ったのだ。イチ消費者として、顧客として。
そもそも社員が個人名で顧客の住所に手紙を出すってのも、どういうことなんだろう。

何のために「返事を出す」社内規定を作ってるんでしょうかね。(もし規定がないなら、ただの恐怖)
もう使うのを全部止めたので、どういう理由でもかまいませんが、どうせなら「やりよう」ってものがあるでしょうに。

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