猫がもたらす喜び

B!

2007年、自分で好き勝手に決められる独身最後のチャンスだと思ってマンションを購入した。実際には楽しいというより大きな試練で「自分の時間と将来稼ぐ分も含めたお金を、どういう優先順位で使うか」ということを見つめて決断する、その連続だった。
「見る目を養い、賢く選んで、大事に長く使う」というのが飯島家の教えのひとつ。そのせいか(見る目が育ったかはともかく)百貨店が大好で、電車に乗ればすぐ伊勢丹やタカシマヤなどへ気軽に行けるところに住みたかった。
しかし「住宅ローン審査」の壁は高かった。37歳の独身女で零細自営業。浴びせられる言葉と結果は厳しく、それは私への「値ぶみ」だった。めげずに手に入れたからこそ、これからは何があってもここにしがみついて私は生きていくぞ、という覚悟の証となった。

我が家にやってきた、茶トラの「チャーリー」

そうして手に入れた自宅に愛着を持ちつつ、猫を飼うことになった。理由はただひとつ、実家でひとり暮らしている母の体調が優れないので、一緒に暮らしたかったから。
戦中生まれの母は自分に厳しく「一緒に東京で暮らそうよ」と話しかけても全く興味を示さなかった。寒い冬の間だけでもいいじゃない、と譲歩しても、頑として首をタテに振らず、遊びに来ても2週間で帰っていった。孫でも居れば世話を理由にできるし、母にとっても同居の理由ができて気安かっただろうに、そういう意味での親孝行ができなかった私は、孫の代わりを猫に求めた。

初めてうちに来た来た日の写真。あまりに小さいのでリンゴと。

 

2011年、震災があった年のクリスマス、キャリーに入ってやってきたのは生後約4ヶ月の茶トラの雄猫。オットの学生時代のアダ名がチャーリーだと結婚式でさんざん聞かされていた母が「この猫は“チャーリー”という顔をしてるじゃない」と言って笑った。その母は半年後の夏に他界してしまったが、チャーリーは来た日からすぐ我が家に馴染んで、私たちになついた。

毎朝、出かけるときは玄関まで見送りにくるし、帰宅時は走って迎えに来て、靴を脱いだ私と一緒にリビングまでの廊下を歩きながらスリスリ・ニャアニャア話しかけてくる。「今日は遅かったね~。忙しかったの?」という感じかな。
呼ぶと走ってくる。椅子に座れば膝にあがってくる。ブラシだよというと洗面所にくるし、おやつをあげると「お手」をする。鼻チュ(お互いの鼻をくっつけてこすりあうこと)が大好きで、だっこするといつもゴロゴロいう。猫にも人間の1~2歳児程度の知能があるらしく、私が日々話しかけているため「チャーリー」であること「ごはん」「おやつ」「ブラシ」「トイレ」「寝る」「おるすばん」。このあたりは意味を判っており表情で返事が読める。私が怒ったり泣いたりしてると、ちょっと離れたところから「どしたの?」という感じで顔をのぞきこんでくる。変な表現だけど「家族だなぁ」って実感がある。

オットとの相談で「飼うなら保護動物」と決める

まずどこに見に行こうかといろいろ調べた中で、世間には結構な数の動物保護団体があった。なかでも近所にあるトリミングサロンが保護活動をしていると知り、近々譲渡会があるらしく歩いて見に行った。
動物保護をネタにして生計を立てていそうな人や「お涙頂戴ビジネス」だったら止めよう、そう心に決めていた。

決めたのは「ミグノン」の活動内容

現地に行くと、建物は崩れそうなほどボロく、失礼ながらみなさん質素な身なりだった。譲渡費用も他団体より安く明細も書かれてある。猫を飼うために事前に用意すべきものや、飼い主の家族構成や収入の心配、家を空ける時間が長いかどうか。マンションの管理規約の提出も求められた。二度とまた棄てられることがないよう、引き渡し時に自宅もチェックします、と熱心なことがよく分かった。
譲渡会には驚くほどたくさんの保護犬、保護猫が居た。飼えなくなって殺処分所へ自ら持ち込む人が後を絶たず、猫も飼養放棄されてるという。野良同然で繁殖しつづける家の情報を聞いてはレスキューに乗り込むと聞き驚いた。動物たちはどれもみんな可愛いし、新しい家族を待ってここに並んでいる姿はうっかり涙を誘う。

保護動物を「えらぶ」という行為

ボランティアさんの説明では、動物にも性格があるので、正式譲渡の前にお試しで「家族との相性の良さ」を確認する2週間があるとわかる。
とはいえ狭い会場にはあまりにも犬猫ウサギがドッサリ居て、多少ひるみつつも、オットとコソコソ相談するが、どう決めていいのかすら決まらない。
決めかねた私はオットに提案した。
「譲渡会は月に2回あるし、こんなにたくさん居るんだから、どれかとはきっと相性も合うだろう。でも今日ここで止めて、また次回ここへ来て「どれにするか選ぶ」という行為がそもそも人間のエゴのような気がしていやだ。今日ここに来たのも猫とのご縁だと思って、覚悟を決めてどれか一人、つれて帰ろう」
かくして、猫は飼ったことがなくて不安だというオットが一目ぼれしたチャーリーの里親になった。

チャーリー2歳。すっかり大人の顔つきに

 

動物だって、家族の一員

もし周りでペットを飼う気持ちがある人が居れば、ぜひこちらの活動を一目みてください、お勧めします。
我が家はその後、あんまりにも人間化したチャーリーが、一日のほとんどを独り留守番に費やすことが気の毒になって、1年後にもう一匹の弟猫をまたここから引き出しました。それついてはまたこんど。

 

▼一般社団法人 ランコントレ ミグノン
http://rencontrer-mignon.org/
▼一般社団法人 ランコントレ ミグノン 保護動物一覧
http://rencontrer-mignon.org/list/

 

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