凶を日々の心構えにいかそう

B!

半年ぶりに自転車を出して千駄ヶ谷の事務所まで向かってみた。ヘッドライトのボタンが壊れてるので明るいうちに戻り近所の駐輪場に停め、スーパーで買い物。帰宅。片道40分のライドは足がパンパンになったけれどいい運動になったので、よし今週も自転車で、と思って駐輪場へ向かったら、泥よけが割れているのを発見。
ガーン!
自分ではぶつけた記憶がないし、先週はタイヤに空気を入れるために後輪を抱きかかえるように触った。こんなに割れていて気づかないはずがない。と自分を信じたい。でも走っていて何かにぶつかった記憶もない。見れば見るほど、悪意すら感じる壊れ方で、真ん中はネジと骨組みしか残っていない。かなりダイナミック。いったいどこでこうなった?と思いをめぐらす。

泥除けが割れてる

 

自宅の駐輪場は上の段だから偶然ぶつけられることはないし、ぶっ壊そうと思ったらヨッコラショと降ろす必要がある。だいいち住人がそんなことするはずもない。
事務所には初めて乗っていき集合駐輪場に停めたので、見知らぬ人の無断駐輪を疑われたか。でも停めるスペースは余っているし、すれ違えば挨拶する人も多い物件なので、やはりこれも考えにくい。
近所の駐輪場は、前輪を挟むタイプの輪が互い違いに組まれた什器。通りすがりに誰かがぶつけた?狭い東京、これが一番ありうるけれど、何の証拠もない。だいたい1時間も停めていないし。

うーん、これは人間性が問われていますよ。そもそも、気づかずに自宅の駐輪場に停めたのは私。これで誰かのせいにして怒り散らしても後味が悪いだけだし、誰かに壊されたとすれば骨組みも一緒に曲がるはずだし。何らかの理由でプラスチックにヒビが入り、衝撃で欠落したのかな。

こんな面倒な思考をたどるのは、今年、密を避けて1月半ばに不動明王へお参りに行き、引いたおみくじは「凶」だったから。
「またもや」だよ。毎年・毎回、不思議なぐらいに凶を引き続けた数年前が頭をよぎる。ようやく「凶スランプ」から脱出できつつあったのに。
2月末、気を取り直して薬師如来にお参りして、再度おみくじを引いたらついに「大凶」になった。いやいや、出世したもんだなー。
20年前の東京観光で浅草寺(たくさん凶があるので有名)に家族で来て、父が凶を引き顔面蒼白になっていたのを笑ってたなぁ。しかし自分の動揺は隠せず、力ずくで気を取り直して別の場所に移動し、再度お参りして引いたおみくじは、またもや「凶」。

ものすごく落ち込んでいたけれど、これを書いてるうちにだんだん笑えてきた。もうね、凶を引き寄せてるんだわ。自転車の故障をどう受け止めるかで私は試されている。人間性が問われているのだ。
こうして毎回私が凶を引いて、そのたびに実はガツーンと頭を殴られたようなショックを一人で引き受けてるせいで、そのせいでオットや二匹の猫たちが、健康でまるまると肥えて、大いびきで寝ていられるのかもしれない。

あっ、肥えてるのは私もだった。
肥えるほどの健康に感謝して、自転車を修理に出すことにしよう。そうだ、この気持ちが「凶」のご利益かもしれん。できたらもう遠慮したいけど。
それにしてもこの自転車のフェンダー、カッコよくて気に入ってたんだけどなぁ。もう同じものは手に入らないだろうなぁ。それが残念。

 

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