他人の口からハッとするような正しい日本語に触れることがありますが、私は本当に自信がない。特に最近は「○○する?」という語尾をアゲた語り口や、名詞で終わる問いかけなどを聞いていると、自戒もこめてイヤーな感じがあります。よくある悪い例ではファミレスなどのマニュアル語「○○でよろしかったですか?」という「現在進行過去形」は北海道が発祥らしいですが、話題になるまでまるっきり違和感がなく使っていたし、「とんでもございません!」とはりきってクライアントに答えてしまったり。全くバカ社長ですわ。
なので大事なプレゼンがある時は、提案準備と並行して1週間くらい前から小説や評論の本を読み出すことがあります。普段「ねぇ、トイレ(に行く時間まだある)?」なんてテキトーなやりとりでは出番がない比喩や形容詞などを正しく思い出すためです。付け焼刃もここまでか、というていたらくですが。プレゼンの場では与えられた短い時間で意図を説明しなければならないし、質疑応答の場面では、ためらうことなく、あらゆる質問に答えるという「小気味良いやり取り」が大切。しかし、たとえ企画が良くても、質問への答えにふさわしい日本語表現を忘れ、とっさに言葉に詰まったりすると、相手にはそのまま自信が無いように映り、いい結果に繋がらないともったいない。
当社の仕事は「コミュニケーションを取るツールを作る」ことなので、間違った日本語を堂々と使っているようでは商売あがったり。昔からキャッチコピーの誤字ほどみっともないものはないと先輩に教えられたし、学生時代に姉が「手記」(しゅき)をうっかり(てき)と言い放ち、父にその後10年近くバカにされていて気の毒でした。あとは「ず」と「づ」などの送りがな間違いや、かなカナ間違いなどは、ビジネス文書で目立ちますね。
しかも他人のうっかり間違いは、恥をかいていると素敵な大人ほど解釈してくれるので、恥の上塗りになるような「間違いへの指摘」はもらえません。その配慮に気づかず、自分が正しいと思って乱発していると、腹の中でバカにされて終わりです。
何度も何度も何度も断っている売り込みの電話のうち、偶然私が出たものがありました。
かけてきたのは求人広告の媒体元ですが、「先日もう出稿しましたから」と答えたら、「出稿」の意味が解らずに「出向」と聞こえたようで、世相を反映してるのか、求人業界では「出向」のほうが身近なのか、「いつごろお見えになったんですか」と大真面目に聞かれました。
最後まで「出稿」だと理解しなかったようですが、的外れでも、聞いてくるだけ営業としてはマシなのかしら。なんだかなぁ・・・。
おっと!こんな日本語もなかったか。あーあ。