仕事を楽しむためのコツ。そんなものがあれば誰も苦労しないので、タイトルを間違えてしまった気がしている。
弊社の仕事は、ユーザーに最も身近な一般企業様からの依頼が殆ど。だからセオリー通りに進まない。いや、いま私は何の業界にいるのか曖昧な部分もあるけれども。ここでは、広義な広告業界としようかな。いや、ウェブ製作業界でもいいかな。受託制作業界、がいいかな。
製作は完成して納品して初めて一般公開となるが、納品までのプロセスは駅伝さながら。製作スタッフがそれぞれのパートを精一杯走りながら、最後に公開作業を行ってゴールだ。そこへ気持ちよくたどり着くには、近道やラクな道はなくて、結局は根気しかないと思う今日このごろ。
私達の仕事は、自分も含めスタッフ達が精一杯走れるように、コースを決めたり、道路をならしたり、走る順番を決めたりする。時には、早く寝るように、体にいいものを食べるように、気持ちよく走るための心の持ち方などを話し合うこともある。
しかしこの「駅伝チーム」には、実は依頼主というクライアントの担当者も混ざっている。お客様はスタッフと一緒に、同じ方向を見て走るのだ。いや、もしかするとパート走者ではなく、私と一緒に最初から最後まで一気通貫で走り続ける一番の苦労走者かもしれない。
しかし、検討に検討を重ねると、考えすぎて一巡し、当初の問題に戻っていることが多い。
デザインはたくさんバリエーション案を見れば決まるというものではない。
文字校正は人間の根気と忍耐から、せいぜいが2~3回までである。
製作物は作る目的がブレ始めると、いつまでも終わらず、納品にならない。
ここに気づくほど揉まれているクライアント担当者はごく稀で、これがわかると立場を問わずにかなりの猛者なんだけど、そういう人はなかなか少ないのが現状です。
しかし、無理を言われ、苦労を重ね、怒ったり泣いたりしながらも頑張って乗り越えることができれば、素敵なご褒美が待ってます。それは男も女も老いも若きも関係なく、一定の温度で、深く解りあえるという“戦友”のような人間関係を得られるということ。
これはもう何よりも心強く、本当に素敵な財産です。
この味に一度触れることこそが、仕事を楽しみ続けられる一番のコツかもしれないなぁ。